壮大な天体ショーはどうやって起こるのか 
提供:アストロアーツ/星ナビ 撮影:川村 晶
いよいよ貴重な天体ショーの瞬間が近づいてきました。
2012年5月21日、朝6時から9時ごろにかけて、日本の多くの地域で金環日食が見られます。金環日食とは、太陽の光の中央部分を月が隠してしまい、太陽の外側だけがリング状に光って見える現象です。東京では173年ぶり、名古屋にいたっては932年ぶり(!)という超レアなイベント。これは見ないわけにはいかないですよね。
ところで、この金環日食がどのような仕組みで起こるかをご存知でしょうか?
せっかくですから、本番前に予習をしてみませんか。
金環日食はその名の通り「日食」の一種です。まずは日食の仕組みを考えてみましょう。
先ほども少し触れましたが、日食には太陽と地球、そして月が大きく関係しています。地球は太陽の周りを回っています。そして月は地球の周りを回っています。この3つが太陽、月、地球の順に一直線に並んだときに日食が起こります。太陽と地球のちょうど間に月が割り込んできて、太陽の光を隠してしまうのです。
文章だといまいち分かりにくい方もいると思うので、分かりやすく図にしてみました。

図1をご覧ください。
このような状態のとき、Aから太陽を見ても、ちょうど間に月がありますね。この状態だと、太陽からの光は月で遮られてしまいます。太陽を電球、月をボールで置き換えてみるとよく分かります。自分の目と電球の間にボールがあれば、電球は見えませんよね? これと同じことがものすご~く大きなスケールで起きているわけです。
ちなみに、地球が太陽の周りを回る軌道が作る平面(公転面と呼びます)と、月の地球に対する公転面は微妙にずれていて、なかなか3つが一直線に並ぶことはありません。しかも、並んだときに地球の限られたところにいないと日食を見ることはできません。例えば、条件を満たした瞬間が夜だったら、その地域の人ではどうやっても見ることは不可能です。日食が見られるというのは、かなりラッキーなことなんですよ!
そして、太陽が月で全部隠れる日食を「皆既日食」、太陽の外側だけが見える日食を「金環日食」、外の一部分だけ欠けたように陰になる日食を「部分日食」と呼びます。今回、北海道や東北地方、中国地方、そして九州北部では部分日食が見られます。図1でいうと、Bから見た場合は部分日食になります。ぴったりは重なりませんが、端は月が重なっている状態です。先ほどの電球、ボール、目が一直線の状態から、少しだけ自分の目の位置をずらして電球が半分くらい隠れている状況をイメージいただくと分かるのではないでしょうか。
なお、今回は皆既日食は見られません。というのも、金環日食と皆既日食は同じ場所で同時には起きないのです。次はその仕組みをご説明します。もう少しお付き合いくださいね。

図2をご覧ください。
地球が太陽の周りを回る軌道は、実は綺麗な円ではなくて、楕円を描いています。同様に月も地球の周りを楕円を描いて回っています。特に月は綺麗な円から比べると、かなり潰れた形で回っています。つまり、地球から近いときもあれば遠いときもあるということです。この「近いとき」に日食が起こると皆既日食、「遠いとき」に起こると金環日食になります。
さきほどの電球とボールの話を思い出してください。一直線に並んでいる状態で、自分の目からボールを離していくと、当然ボールの見 た目は小さくなります。そして、電球の大きさよりもボールが小さくなれば、電球の外側の光は見えますよね。これが金環日食の状態です。一方、ボールを自分 の目に近付ければ、ボールの見た目は大きくなり、電球の光を全部隠してしまいます。これが皆既日食の状態です。今回は月が遠い位置にあるので、金環日食が 起こります。
金環日食について、お分かりいただけましたか? 壮大なドラマにワクワクしてきたでしょう? これを逃すと、次に日本で見られるのは早くても18年後。東京だとなんと次は300年後です。今回見ておかないともう見られませんよ!
21日はちょっと早起きして東の空をチェックです! 晴れててくれえ~~!!
そうそう、最後にちょっとだけお願いです。
太陽を直接肉眼で見ると紫外線で目が痛んでしまい大変危険です。観察には必ず日食グラスを使ってくださいね。今なら書店などに行けば売っています。また、外で見る際には周囲に気をつけて、動かずに見るようにしましょう。よそ見して歩くのは危ないですよ!